みんな同じじゃなくてよい【ドイツ式子育てに学ぶこと】

ドイツにきて、甥や姪(義妹の子供たち)ができてから、ドイツの子育てって子供を尊重しているなぁと思わされる場面に出会います。

ドイツの教育方針のすべてが日本のそれより優れているというのではありません。ただ、日本の子育てもこうすれば子供はもっとのびのびと育つのにって感じます。

ドイツ式子育てから学ぶことの結論は、『みんな同じじゃなくてよい!』です。どんなことでそう感じるかを深ぼっていきます。

ドイツ式子育て① 小学校に入学する年齢が同じじゃない

ドイツの教育制度で日本の小学校に相当するのがGrundschleという初等教育です。その前に幼稚園(Kindergarten)に子供たちは通っています。

日本だと小学校入学の年齢は6歳です。小学校入学前に、病気をしていたり、よっぽどの理由があったりしない限りは、入学の年齢は6歳ですよね。

ドイツでは、特別な理由がなくても、入学を遅らせることは普通です。つまり、子供の発達状態に合わせて、入学時期を変えることができます。

幼稚園の先生と親とが子供の状態について話し合い、そのまま、幼稚園を終えて小学校に入学するか、もう1年幼稚園に残るかを決めます。

私の妹は幼稚園の先生をしています。妹曰く、「4月生まれと3月生まれが同じクラスだと明らかにできることが違う。」と。

当たり前ですよね。だって、4月生まれと3月生まれの差、一年間ですよ。生まれたての子供と1歳の子供ってまったくできることが違いますよねぇ

1年の差って小さければ小さいほど顕著です。大人になってからの1年の差とはわけが違います。

それだから、親は、幼稚園の先生と相談して、今、小学校に入学しても、勉強についていけないと判断した場合は、1年小学校入学を遅らせることにします。

私の夫も義妹も1年遅れで小学校に入学したそうです。今、小学校へ通っている甥も1年入学を遅らせました。

私の知る限り、日本でそのような子供に会ったことがありません。日本だったら、小学校に7歳で入学していたら、周りの親が理由を知りたがるだろうし、クラスでも質問攻めにあいそうです。

ドイツの場合は、そもそも幼稚園がすでに多国籍なので、年齢の差はそれに比べれば、とても小さいことなのではないでしょうか。

日本は『みんな同じ』にこだわりますが、ドイツは『みんな違っていて当たり前なのです。

ドイツ式子育て② お互いを尊重しあうことを重視

これはドイツで子供を幼稚園に通わせている知人から聞いた話。

子供Aがおもちゃで遊んでいました。そこにもう1人の子供Bが近づいてきました。その子供は先の子供からおもちゃを取り上げようとします。

それを見た幼稚園の先生はどうすると思いますか?

日本だったら、「ふたりで仲良く一緒に使いましょう。」って言いそうじゃありませんか?

ドイツは、「これは今、子供Aが使っているから、終わるまで待ちましょうね。」と子供Bに伝えます。

もし、ママ友が子供と一緒にあなたの家に遊びに来たとします。あなたの子供がおもちゃを使っていて、ママ友の子供が横取りしようとしています。

きっとあなたは、「○○(あなたの子供の名前)、○○ちゃん(ママ友の子供の名前)と一緒に使いましょうね。」とあなたの子供に言うでしょう。

もちろん、どっちがよいというつもりはありません。私は、常に一緒という考え方が子供のストレスになることもあるということを伝えたいのです。

ドイツ式子育て③ 子供も大人も平等

私の日本人の甥と姪は、私のことを『○○(私の下の名前)ちゃん』と呼びます。

それは、私がおばちゃんと呼ばれたくなくて、物ごころついたときに、私のことは、「おばちゃんじゃなくて、○○ちゃんと呼んでね。」って伝えたから。もちろん、呼び捨てでも私はぜんぜん構わないのですが。

日本人の甥と姪が小さいとき、私は妹の家に遊びに行きました。先に、妹のママ友が遊びに来ていました。

私の甥と姪は、「○○ちゃんが遊びに来る。」と妹のママ友に言っていたそうです。私が登場すると、「えっ」っと。

○○ちゃんと甥と姪が言っていたから、てっきり子供だと思いこんでいたそうです。そこに登場したのが、おばちゃんでびっくりされました。

一方のドイツ。老若男女、お互い呼び捨てです。もちろん、職場や近所付き合いでは一部違いますが、親戚とか友達とかだとほぼほぼ下の名前で呼び合います。

例えば、幼稚園児が幼稚園であう友達のママのことを「キャサリン(仮名)」とか。日本なら、「○○ちゃんのママ」ですよね。

それから、私は義父や義母に「パパ」、「ママ」と声を掛けますが、義妹の夫は、義父に「トム(仮名)」、義母に「マリア(仮名)」です。

私はそれを聞くまで、ドイツでは年上にも関わらず、義両親を下の名前で呼ぶって普通って知らなくてびっくり

このようなお互いの呼び方をひとつとってもドイツには平等な関係を築ける基礎があると感じます。

もちろん、私のドイツ人の甥と姪は、私のことを「○○(下の名前)」と呼び捨てです。でもね、なぜかふたりは、私の夫のことを「○○(夫の下の名前)おじさん」と呼ぶんですよ、不思議!

ドイツ式子育て④ 大学を慌てて卒業する必要がない

その1)

大学に通うドイツ人大学生に知り合いがいるのですが、既に歳が30近いのに卒業を焦る気配がまったくありません

その2)

今はすでに働いていますが、私が日本茶屋を開いていたときは大学院生でした。日本に興味があると聞いていました。週に1回、日本の家庭料理に興味があってランチを食べにきてくれていました。

あるとき、私は彼女に尋ねました。「修士を終了したらどうするの?」 私はどこで仕事をするのか聞いたつもりだったのですが、返事はこうでした。

「終了したら、半年日本を旅行して、ドイツに戻ってきてから、仕事にことは考える。」 新卒って何?て感じです。

その3)

ドイツの大学生は、大学にいる間にインターンをします。日本のように1回だけ数日とかではなく、半年とかで数回ね。

自分の興味がある仕事が見つかるまで、とことん。そのために長く大学に籍を残している大学生が少なくありません

ドイツの場合は就職するとき、実務経験が重視されるってことももちろんありますが、それだけ時間を掛けてよい環境ってのは大学生にとって有意義。就職浪人なんて言葉ないですし、恥じることもありません。

ドイツ式子育て⑤ 新卒じゃないと就職に不利って何?

ドイツでは、就活でフォーマルスーツを着る必要もありません。就活の時期もばらばら。そろっての新人研修もありません。

実務経験が高く評価されるので、ドイツではよりよい仕事環境であれば、転職することもしばしばです。退職金もないので、同じ職場にしばられることもありません。

卒業してすぐの若者が既に経験豊かな社会人と同じ土場で戦い、仕事を勝ち取ることは容易ではないでしょうが、他人と比較する必要なないドイツでは、納得いくまで自分の選んだ道を突き進めばよいだけです。

終わりに

子供のころから、他人と比較されることなしに、自分の生きたいように生きてよいと言われて育てられていれば、子供もストレスたまらなくてよいのにと日本の子育てを見ていて思っていました。

そうなるためには、日本社会が変わる必要はありますけど。

大人もそうです。つい他人と自分を比較してしまい、自分はダメだとか思って、鬱になってしまいます。

私もコンプレックスのかたまりなので、今、無職なこと恥じたり、英語もドイツ語もうまく話せないことに落ち込んだりの毎日です。でも、他の人ができないことを私はできたりするわけで、人それぞれって思うようにしています。

親が子供にそれを小さいときから伝えていれば、自分を人と比較しないし、自分の価値観で判断できると思いませんか。