こんにちは、ソラです。
ドイツに移住してから、ドイツ人、ドイツ在住の日本人と仕事の話をすると、ほとんどの人が転職経験者です。男女問わず。
ドイツでは転職ってそんなに安易? なんでなんだろう?
今回は、ドイツの転職事情についてお話していきます。
内容はこんな感じ。
- 退職金が出ないから長く同じ職場に勤務する必要がない
- 新卒採用という概念がない
- 転職が中途採用の不利にならない
- 仕事中心の人生なんてありえない
それでは、しばらくお付き合いくださいませ。
ドイツでは転職が当たり前の理由① 退職金が出ないから長く同じ職場に勤務する必要がない
日本で仕事をしていると同じ職場に長くいればいるほど退職金は増えることになります。
故に、歳を重ねれば重ねるほどに、退職金が頭に浮かび、転職したいけど、定年まで我慢しようと思いもします。
そもそも50歳を越えた凡人にそう簡単により条件のよい転職先が見つかるわけもなく、結果、保身になります。
一方、ドイツの場合、法律に退職金制度がありません。ドイツで採用された場合は、日本人であろうとドイツの採用基準になるので、退職金は出ません。
このことから、ドイツでは退職金に縛られないので、転職が頭に浮かんだとき、退職金のことを考える必要がありません。
私自身、50代前半まで日本の大学教員をしていました。私は私が勤めていた大学の定年退職は65歳でした。
25年以上務めた大学を退職するとき、一番頭をかすめたことは、このまま、65歳まで勤めて満期定年退職すれば退職金は約2倍なのに、とめちゃくちゃ思いましたから。
退職金は就業年数と給与が関係してくるので、本当に約2倍になったか、実際、分かりません。
はたまたこの日本の少子化時代に大学が生き残っているのかという疑問も。
特に、少子化のあおりは地方私立大学が最初に受けやすく、将来の不安要素も多いのですが。
ちなみに、ドイツ人に日本の退職金制度の話をすると、びっくりされます。
ドイツでは、独身なのか結婚しているのかなどにより異なりますが、日本でいう健康保険や年金保険や税金などで給与から30~45%が差し引かれます。
さらに、退職金もありません。ちなみに、ボーナスもありません。
故に、ドイツでは、給与、すなわち年収をいかに増やすかが退職後の年金にも影響するので、よりよい環境があれば転職を躊躇する理由がありません。
退職金制度がそもそもないドイツに、もし、それがあったらは、推測しかできませんが、転職率は今より下がるのかもしれませんね。特に、50代、60代の年齢層の転職率が。
逆に言えば、ドイツには、退職金制度という縛りがないので、転職も容易ということになりますよね。
ドイツでは転職が当たり前の理由② 新卒採用という概念がない
ドイツでは新卒採用という概念がありません。
ドイツでは、日本のように、内定獲得にリクルートスーツを着て、会社を回ったり、面接を毎日受けにいったり、なんてことがありません。
ドイツの場合は、企業が求人を出し、その職に就きたければ、応募し、採用されれば、その企業で働けます。
ドイツでは即戦力が期待されるので、新卒の場合、経験値が低くて、逆に、職を得にくい場合も少なくありません。
故に、ドイツ人は学生の間に、インターンの数をこなします。経験が採用してもらう時のセールスポイントになるからです。
ドイツ国内に限らず、世界各国でインターンをします。
経験値を上げると同時に、インターンを通して、自分に向いている仕事かも検討します。
実際、仕事なんて働いてみないと分からないことも多いですから。
インターンの期間も日本のような数日とかではなく、少なくとも半年とか。
ドイツでは、学生が卒業を焦りません。卒業する前に就職先が決まっていない学生もいます。
日本に比べると、ドイツでは、修士や博士コースに進学する人も多いです。
ドイツも日本と同様、修士は2年、博士は3年の期間ですが、博士コースに3年以上在籍している人も多く見かけます。
修士を終了後、仕事を決めず、半年、日本を旅したドイツ人女性を知っています。焦っている様子はまったくなかったです。
今はちゃんとベルリンで職に就いています。
そもそも日本のように、小学校入学は6歳、中学校入学12歳、というように、子供のときから、同年齢は足並み揃えてという感覚もドイツではありません。
例えば、35歳で就いた仕事が初めての人もいれば、35歳で既に3回転職している人もいます。
就職に限らず、何事も周りに合わせる必要がないドイツ。故に、転職のハードルも低いのだと感じます。
ドイツでは転職が当たり前の理由③ 転職が中途採用の不利にならない
先にも書いたように、ドイツで就職のときに大事なのは、経験値や即戦力です。
日本のように、新卒対象の研修制度もないし、新人だからと手取り足取り教えてくれるということもありません。
私の知人は、転職のたびにスキルをアップしているし、それを武器により良い職場環境を探して転職しています。
日本の場合、転職を繰り返すと、忍耐力がないとか協調性の欠如とかマイナスイメージがつくことがほとんどです。
転職が1年に10回というような極端な例は別にして、転職が不利に働くことはドイツではありません。
それから、仕事を始めてから、自分に向いていないことに気が付き、再度、大学へ行き直したり、職業訓練校へ通ったりする人を多く知っています。
日本の場合は、転職しても同分野でがほとんどですが、ドイツではそうでもありません。
ちなみに、義父は、建築家でしたが、大学で経済学を学んだけれども、自分に向いていないことに気が付き、方向転換をしたそうです。
30代、40代で職業訓練しているドイツ人が少なくありません。そういう土壌があるから、転職が不利にならないのでしょう。
ドイツでは転職が当たり前の理由④ 仕事中心の人生なんてありえない
そもそもドイツでは、サービス残業という言葉が存在しません。残業があっても、前後の週で週40時間になるように調整します。
それも難しいときは、休暇を取るように強要されるそう。法律で労働者が守られている証拠です。
ドイツでは、雇用者は被雇用者(雇われている人)に対して、就業時間をきっちり提供することを厳守しなくてはいけません。
雇用者がそれを守らず、被雇用者に残業させれば、法律で罰せられます。
そのような厳しい制度で被雇用者が守られているので、ドイツ人は家族と過ごす時間をたくさん持つことができます。
もし、職場環境のせいで、精神状態が悪くなったり、体を壊したりするようなことがあれば、家族は転職を進めるでしょう。
給与は多いに越したことはないけれど、それよりも大切なのは、精神的に安定できる職場です。家族との時間を大切にするドイツ人の発想だと感じます。
日本人のように、ドイツではブラック企業だけど耐えるなんてことはしないはずです。
自分のために、家族のために、転職した方がよいなら、迷わず転職を選ぶでしょう。
日本で働き虫だった私は耳が痛いところです。
終わりに
いかがでしたか。
昭和初期生まれの私の父は、今は隠居の身です。仕事をしていたときは会社中心の毎日、会社に骨埋める覚悟でした。
日本も最近は、終身雇用が減っていますし、ブラック企業が問題にもなっていますし、転職する人も増えています。
一度就職したからといって、その会社に一生忠心を尽くす必要はありません。劣悪な職場環境なら迷わず転職すべきです。
向いていないと思ったら、方向転換もありなのです。
色々な選択肢があることを忘れないで。
無職の私もまだまだこれから。負けないぞぉ
今回もおつきあいありがとうございました。
では、また。ソラでした。