大学はブラックなのか検討してみた

ブラック企業という言葉が既に日本では浸透してしまっています。そんな言葉が生まれるのは、そんな企業があるからですよね。残念です。

私は日本に住んでいたとき、地方私立大学で約25年働きました。

ところで、大学ってブラックなの?

今回は、私の見解を話します。

ブラック企業とは

「ブラック企業」という単語、広辞苑(第七版2017年改訂)に初めて掲載されました。

少し前の動画ですが、YouTubeで興味深い投稿を見つけました。ブラック企業体験イベントを紹介しています。

実際、ブラック企業で働いた人の実体験を役者が演じたり、このセミナーの参加者にそれを体験してもらっていました。

その中で、ブラック企業の実体験として3つがあげられていました。

  1. 理不尽なあつかい
  2. 理不尽な嫌がらせ
  3. 暴力行為

以上について、私が大学で働いていた経験と比較して、大学はブラックなのかを検討してみました。

大学はブラックなのか検討してみた

検討① 理不尽なあつかい

サービス残業

理不尽なあつかいでもっとも多いのがサービス残業のようです。

大学で働くとそもそも残業代はつきません。例えば、研究のための実験をしていて、それが終わらなければ、大学に残って終わらせるのは当たり前です。

また、講義の資料や試験問題の作成も時間内に終わらなければ、残って作成し、印刷もします。

基本的な労働時間は一日8時間となっていますが、毎日8時間に5日間労働で、すべての仕事を終えている教員はほぼいないと思います。

仮に、定時(17~18時)に帰宅したとしても、仕事を持って帰っているでしょうね。例えば、講義のスライドを作るとか論文を読むとか。

そもそも大学教員って、仕事と趣味の境界線があいまいです。研究論文を読むのが大好きだったら、それって趣味ですもんね。

また、大学教員を目指す人は、研究大好き人間なので、研究での時間外労働を気にしていないと思います。

実験すると待ち時間もありますが、その間に講義の資料などを作って時間を効率よく使います。

また、学生がいない夜や週末の方が自分のしたいことに集中できるので、あえてその時間に大学にいる教員もいます。

私も夜は毎日21時くらいまで残っていたし、土曜日はほとんど大学の研究室にいましたね。

時間内に終わらないのは、能力がないとか効率が悪いとか言われてしまえばそれまでですが、少なくとも時間外でも残業代はつかないことに納得して、大学で働く必要があります

今は少子化が進んでいて、大学は入学者獲得に必死です。オープンキャンパスはどの大学でも年間行事になっています。それから、入学試験も大学教職員が協力して行います。

週末に自分が好きで出勤している場合は無給ですが、特別勤務の場合は、臨時手当と代休がもらえます。嬉しかったですね。

残業以外では

残業では理不尽なあつかいは感じませんでしたが、私が大学教員をしていたときに、「えっ、それってどうよ。」と思ったことは以下のとおり。

  1. 帰ろうと思っているところに仕事を頼まれた
  2. 有休を使って旅行するのに、嫌みを言われた
  3. 明らかに研究成果を出していない教員が昇進した
  4. 言われることが変わって振り回された
  5. 会議が多&長かった
  6. 男尊女卑が残っていた

以上に関して私の実例をまじえて解説します。

1 帰ろうと思っているところに仕事を頼まれた

事例)自分の今日の仕事は終わりと思って、「お先に失礼します。」と声を掛けようと教授室をのぞいたら、「○○やって。」と言われた。

それが明日以降なら、問題ないが「今からかよ。」が問題。しかもしょっちゅう。

解決策)「明日します。」と言う。だって非常識すぎます。

2 有休を使って旅行するのに、嫌みを言われた

事例)お盆休みに有給休暇を追加して2週間の休みを取ろうとしたら、教授に「有休は病気とか子供の用事とかで使うものなんだよ。」と言われた。

どんな理由で休もうと勝手だ。講義もない、学生もいないのに。有休は労働者の休む権利。

解決策)気にせず、休む。

3 明らかに研究成果を出していない教員が昇進した

事例)はっきりした理由が分からないスピード昇進。あっという間に教授。

その教員は研究論文ずっと発表していないのになぁ。もともと役員メンバーと同じ出身だから。。。勘ぐりすぎ?

解決策)直談判。しても効果なさそうだから、人事が気に要らなければ転職するしかない。

4 言われることが変わって振り回された

事例)「この資料集めておいて。」と言われて集めたら、「今日使わないから、戻しておいて。」

昔は図書館から文献を持ってきていた。その私の労力を考えもしていない教授。

解決策)今はネット検索できるから時代の流れが解決。

5 会議が多&長かった

事例)週に最低1回はあったし、常に1時間以上、長いときは3時間なんてときもあった。

解説策)会議に参加しない。

6 男尊女卑が残っていた

事例)明らかに大学教員は男性比率が高かったし、男性が女性より昇進も早かった。大学職員の方がそれが顕著だった。

解決策)意識改革…できるんかな?

今、思えば、反論できない自分の弱さって思えるのですが、若いときってムツカシイかった。

精神が病んで休職する職員や教員もいました。

若男女関係なく、オープンな意見交換の場を設けてほしい。若い教員が教授と異なる意見でも後で不利にならないようにすべき。

大学にも働き方改革は必要なのだと感じます。

検討② 理不尽な嫌がらせ

私自身は感じたことはありませんでした。

学生からは耳にしたことがあります。とある研究室の教員が、ひとりの学生を無視しているとか、研究機材を使わせないとか。

伝聞はうのみにしてはいけないけれど、ないとは言い切れません。

教員同士のいじめが社会問題にもなっている今、理不尽と感じたら、黙っていないでほしいです。誰かに助けを求めてほしいです。

検討② 暴力行為

大学は想像以上に閉鎖的です。病院おくりや警察沙汰、告発などがないとみつけることは難しいです。

今は、白い巨塔のように、教授のいうことは絶対、トップダウンの系図は緩和されていると感じますが、残っていることもしかりでしょう。

終わりに

大学にもブラックな部分はゼロとはいえません。存在すると思いますが、ちまたで名があげられている企業と比べれば、大学はマシな世界というのが私の結論です。

ただし、これは地方私立大学25年の私の体験談によるものです。

以下、余談。

最近は、大学は任期付き採用が多いです。そのために、若い教員が教授に対して言いたいことがいえないとしたら、それはたいへん残念なことです。

研究もろくにせず、講義の質も悪いのに改善もせず、定年退職が保証されているからとのんびりしている教授も見てきました。

こんな教授に給料払うなら、朝から晩まで雑用をこなしながら研究している若手助教に手当を出せ!とも思っていました。

私が昇進できなかったのは私の能力不足だったのかもしれません。昇進したかったわけでもありません。

私はその評価に納得していなかっただけです。 問題は、評価が平等か知りたいだけなのです。

教員が納得する評価システムを構築し、それを使う。それだけ。

若者たちへ

そもそも社会は残念なことにアンフェアなのです。だから、それを分かった上で戦ってほしい。無理なら逃げてよい