6月も下旬になり、初夏を感じられるドイツ。今年はドイツ産ホワイトアスパラガスが例年より長く店頭を飾っています。
コロナの影響で収穫が遅れているとか。アスパラガスの季節が延長されるのは、アスパラガスをこよなく愛する私にとっては嬉しい限りです。
近所にはアスパラガスの出店があって、毎朝、農家から直送。とっても新鮮です。
この出店を見つけると春がドイツにも来た~って感じます。
ドイツの冬は暗くて日照時間が短いから、日本に居るよりうんと「春よ、来い!」って願ってしまいます。
今回は、そんなドイツへ春の到来を知らせてくれるホワイトアスパラガスのお話です。
おつきあいいただけると嬉しいです。
白いアスパラガスの歴史
そもそもアスパラガスって、日本でもおなじみのグリーンアスパラガスと最近、日本でも見かけるようになったホワイトアスパラガスがありますよね。
ちなみに、紫色のアスパラガスもあるそうです。アントシアニンが多くて体にいいとか。私はまだ食べたことはありませんが。
アスパラガスは南ヨーロッパが原産国です。紀元前2000年ごろ、古代ギリシャ・ローマ時代には既に栽培が始まっています。
そのころは、アスパラガスは高級品で庶民の口には入らなかったようです。
当時は野生のアスパラガス、これはグリーンアスパラガスです。では、ホワイトアスパラガスはどうやって誕生したのでしょうか?
今から500年程昔の16世紀のことでした。 イタリアのとある村で、天災による被害の影響で農作物が全く取れなくなってしまった年がありました。
人々は飢饉に苦しみ、土の中の芋を探そうと地面を掘っていたときに、偶然出てきたのがホワイトアスパラガスでした。食べてみると、甘味を含んだみずみずしい味に人々は驚き、そのおいしさはヨーロッパ全土に広まって行きました・・・と、いうのが有力な説です。
出典:アスパラの歴史
つまり、土を被せて日光を遮って栽培するとホワイトアスパラガスになり、土を被せずに育てるとグリーンアスパラガスになるということですね。
それ以外にも、使われていないトンネル(廃坑や鉄道など)を利用して栽培も行われているみたいです。
ドイツのホワイトアスパラガスってどこから来るの?
ドイツ産のアスパラガスが出回るのは、4月後半から6月前半の長くても約2か月。
私が住む州でもアスパラガスを栽培しているので、朝摘みたて新鮮の地物が手に入ります。
ドイツで見るホワイトアスパラガスは、ドイツ産だけではありません。
ヨーロッパのアスパラガスの産地はフランスやイタリアが有名だけど、ドイツで春先に、つまりドイツ産が出回る前にスーパーに並ぶアスパラガスは、ギリシャ産が多い気がします。
ギリシャとか暖かいからね。それ以外にも先に暖かくなる国のアスパラガスがドイツでは先に売られ始めます。
でも、ドイツ人はドイツ産が出回るのを待って、地物を高くても買っているようです。地産地消、いいことだ!
実は、ドイツ。旬のものは旬に志向が日本人より強いと思っている私。スーパーでも旬になると旬のものがたくさん並び、旬が終わるとピタッとそれを見かけなくなります。
だから、次の旬がとても待ち遠しくなるのだろう。
今の旬はアスパラガス。で、スーパーのチラシも見開きアスパラ特集です。
旬以外の時期にホワイトアスパラガスをスーパーで見かけないかといえば、隅っことで遠慮ぶかそうにあるっちゃあります。でも、ドイツ産じゃなし、売れてないように思います。
ドイツでのポピュラーなホワイトアスパラガスの食べ方
茹でたホワイトアスパラガスに溶かしバターをかけて食べるのが、ドイツでは最もポピュラーです。
ちなみに、茹でて食べるのが一般的なので、アスパラガス専用の鍋も売っています。
同じくらいにポピュラーなのが、オランデーズソース(卵黄と溶かしパターからできたクリーム状のソース)をかける食べ方。上の写真のソースね。
どこのスーパーの写真にもこのソースをかけたホワイトアスパラガスの写真が載っています。
このソース、作るのが面倒そうって思うでしょ。スーパーで既にできたのやインスタントでお湯に溶かすだけのが安価でいろいろなメーカーから売られています。
らくちん!
私は、ホワイトアスパラガスの素材の味を楽しんでほしい!と思っているので、まずは、ソース抜きでそのまま食べてほしいです。
これだけで、充分、レストランのメニューとして登場していますが、付け合わせを選ぶなら、これってのがあります。
付け合わせは茹でた生ハムあるいは、燻製のハムがポピュラー。
写真(右)が我が地方では付け合わせとして最もポピュラーです。
写真(左)はセラーノ産生ハム。ご存じスペインで作られている生ハムです。こちらの方が100g当たり2.99ユーロとお高めです。
日本だと生ハムが主役になりそうですが、あくまでも、主役はホワイトアスパラガスです。
それ以外にも、ホワイトアスパラガスのサラダやスープもあります。
ホワイトアスパラガスのスープもソース同様、缶詰やインスタントがあるので、ずぼらでも楽しめます。
オーブン焼きにしてみたり、スパゲッティにしてみたりと応用も利かせることもでき、レパートリーも豊富です。
前菜から副菜まで、この季節のホワイトアスパラガスはオールラウンドプレーヤーです。
ホワイトアスパラガスの季節には、ドイツのレストランでもこの料理が主力。季節のメニューに必ずあります。
ホワイトアスパラガスが出回っている季節にドイツに来られたら、是非、食すべし!
我が家のホワイトアスパラガス事情
我が家はといえば、私は、大のホワイトアスパラガス好き。毎日でも食べられます。
ドイツ人はホワイトアスパラガスに思い入れが強いといいます。そうであれば私もスピリッツはドイツ人です。
実は、グリーンアスパラガスも旬は同じ時期なんですよ。育て方が違うだけですから同じように出荷され、店頭に並びます。
日本ではホワイトアスパラガスが珍しいので、こちらばかりが話題にされますが、ホワイトもグリーンもどちらも旬は4月下旬から6月上旬。
白と緑のアスパラガスが横並びに売られているけど、人気はホワイトアスパラガスのようです。
私は、白か緑か選べないくらい、どちらも好きなので、どちらも同じ頻度で買っています。
私の食べ方は、超シンプル。塩ゆでするだけ。アルデンテ。それをそのまま食します。
ときどき、軽く燻製した薄切りのハムを付け合わせにします。こんな感じです。
欲張りな私はハムだけでなく、サーモンもご一緒。
これらは開けて盛り付けるだけなので、茹でるのはアスパラガスとジャガイモだけ。美味しくてらくちんです!
ときには焼きアスパラもあり。
さらにアスパラガス用の白ワインもお目見え。この季節だけ、アスパラガス用のエチケットを変えただけなんだろうけど、買ってしまう私。
夫といえば、残念なことに、アスパラガスを食べられません。あの独特の触感と味がダメだそうです。
そういうわけで、夫は、付け合わせの薄切りのハムだけおいしそうに食べています。
ドイツに生まれたのになんてもったいないと思う私でした。
終わりに
いかがでしたか。
日本でも北海道産のホワイトアスパラガスをスーパーで見かけるようになりましたね。私がお気に入りのレストランでも春のメニューにお目見えします。
日本でも生のホワイトアスパラガスを食べられるようになったとはいえ、それでも、まだまだ貴重で珍しい。
高価かもしれないけれど、缶詰とはまったく味や触感が違うので、生のホワイトアスパラガスを見かけたら、必ず食べてみてほしいなぁって思います。
そして、春にドイツを訪れたら、ホワイトアスパラガスは外せない食材です!お忘れなく。
今回もおつきあいありがとうございました。
では、また。ソラでした。